70年続くメリヤス生地メーカー風神莫大小01|wjkのものづくりを支える技術。

70年続くメリヤス生地メーカー風神莫大小01|wjkのものづくりを支える技術。 - wjk

丸編ニットの一大産地である和歌山県和歌山市に、wjkのものづくりを支える企業がある。田園風景の中にニット製造工場が立ち並ぶ地域で、風神莫大小(かぜかみめりやす)は創業から70年続く老舗メリヤスメーカーだ。

 

海外製の安価な生地が主流になった今でも、風神莫大小の古い編機にしか出せない味わい深い生地を求めて、日本だけでなく海外からも数多く依頼があるという。

変わらない本物を追求して服づくりを続けてきた、wjkのニットやジャージー商品など、創世記からリリースしている重要なアイテムもこの技術に支えられている。

 【機能素材01】ジャージー|変わらない本物を追求し、生地から考えるwjkのジャージー素材。

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工程によって細かく分業化されている繊維産業において、メリヤス生地の製造工場も「編む」ことに特化している。工場内には買い付けた糸を巻きなおす機械の他、ニットの編機だけがずらりと立ち並んでいる。工場内の区分はとてもシンプルで、「糸の保管・チェック場所」「生地を編む場所」「編み上がった生地をチェックする場所」「出荷場所」の4箇所。創業から変わらないこの工程が、多岐にわたる服づくりの工程を川上から支えている。

 

まず、糸を巻き直すための機械には、その後の工程をスムーズに進めるための役割がある。

安価な糸を使用する場合、糸が脆く、編む途中で切れてやり直しになることがあるため、編機に通すまえにチェックをする。

また、編機に糸を通す「給糸口」という穴の口数に合うように、1巻きの糸を複数個に巻き直すためにも使う。

 

この機械は40年現役で生地を編み続けている編機だ。糸の張り具合(テンション)が異なると生地が均一の質感で編み上がらない。

どこか1箇所だけテンションが張っていると、そこだけ切れてしまったり、染色の工程で色が染まらなかったりする。

そのため、ズレがある場合はひとつひとつマイナスドライバーで編機の閉まり加減を調整する必要があり、熟練の技術を要する。

糸全体のテンションを弱くすると柔らかく空気を含んだような風合いになり、強くするとハリのあるしっかりとした生地に仕上がる。

 

編機は、編み上がる筒状の生地の直径が大きいほど機械自体も大きくなる。給糸口という糸をセットする箇所に1本1本糸をかけていくだけで、ベテランの職人でも1時間はかかる重労働だ。

この糸を機械にかける工程、例えば「コットン50% ウール50%」の生地を編む際に、元々糸自体がそのように配合されている場合もあれば、「コットン100%」「ウール100%」の2種類の糸をそれぞれ編み込んで、最終的に半々の重量になるように計算して編む場合もある。

100%単一素材の糸同士を複数種類を編み合わせる場合、その種類が増えるほど、計算や技術も複雑になっていく。

さらに、化学繊維と天然繊維では染色の工程で生地が染まる温度も異なるため、その後の工程を考えても複数素材の糸を混ぜ合わせるのには技術が必要になる。

 

ブランドからの依頼では、あらかじめこれらが計算されていることはなく、「こんな感じの生地にしたい」と現物を見せられることがほとんどだという。

そこに応えられる技術の高さと経験は、wjkのように生地開発から考え、服をつくろうとするブランドにとっては心強い。なくてはならない存在だ。

 

スエットのような裏毛素材を編むためには、「表」「中」「裏」の3種類の糸が必要になる。

服の内側にあたる裏糸は1番太く、タオル生地のパイルのようなループ状になるが、その長さを変えることで異なる質感の生地に仕上がる。

また、生地の詰まり具合を調整することで、「度詰め」と呼ばれるしっかりした生地が出来上がる。

 

大量生産用の編機では表現できない豊かな風合いや、ヘタりにくく長く着られる上質な生地。

古い編機は生地を編むのに時間も手間もかかるが、メンテナンスをしながら大切に使い続けられてきた古い編機にしか出せないしなやかさ、味わいがある。

 

 チェック工程では、針のひっかかりで穴が空いていないか、糸が一部抜けてしまっていないかなどを丁寧に見分け、問題のない「A反」のもののみを出荷している。

編む技術だけでなく、細部まで丁寧に行われる検反作業も、質の高い生地製造を支える重要な工程だ。

古いものだと70年もの長い年月、現役で生地を編み続けている編機もあるが、古い機械でないと表現できない風合いのある生地にファンは多く、今では中国やニューヨークなど海外のブランドからも注文があるそうだ。

 

「生地を編む」という技術の核は、創業当時から変わることなく風神莫大小に受け継がれている。高い品質の生地を編み、生地開発にも応えてくれる風神莫大小のお陰で、wjkのものづくりは支えられている。一方で、実は風神莫大小にはただ「変わらない」だけでなく、新しい分野に積極的に打ち出す革新的な一面もある。

これからの風神莫大小について、四代目の風神社長にもお話を伺った。

   「70年続くメリヤス生地メーカー風神莫大小02| 変わらない製造技術と、変わり続ける覚悟。」

https://wjkproject.com/story06/story06